01.
カスタマーエクスペリエンスとは?
カスタマーエクスペリエンスとは、日本語で「顧客体験」を指します。Customer Experienceの頭文字をとって「CX」と呼ばれるケースも多いです。
顧客が商品やサービスを利用してから終了するまでに得た体験や価値がCXにあたり、定量的な価値ではなく心理的な価値・満足度の高い内容を良質なCXと呼びます。
例えば、商品購入後のアフターフォローやサポートが手厚い場合、顧客は「製品以外の部分で価値のある体験をした」と感じます。商品購入から購入後までに感じた一連の感情・体験がCXです。
ただ商品やサービスを利用するだけではなく、心理的価値を得ることで顧客満足度は向上し、顧客の定着や増加、ひいては企業の成長が期待できます。
ユーザーエクスペリエンス(UX)との違い
CXに似た言葉として、「ユーザーエクスペリエンス(UX)」が挙げられます。
UXとは、顧客が商品やサービスを通じて得る個々の体験のことです。例えば、Webサイトの閲覧がしやすい・決済手段が豊富などがUXに当てはまります。
一方、CXはUX全体のプロセスの総称を指します。
顧客が感じた個々の体験が積み重なり、全てのエクスペリエンスによってCXが構築されていると言えるでしょう。
カスタマーサティスファクション(CS)との違い
CX以外にも、似た言葉で「カスタマーサティスファクション(CS)」があります。CSとは日本語訳すると、顧客満足度のことです。顧客満足度とは、自社商品やサービスに対して、顧客がどの程度満足しているかを指します。
CXは提供した商品・サービスに対して顧客が感じた体験や価値を表しているのに対して、CSは顧客からの評価です。つまり、CXとCSは同じではなく、指標部分に違いがあると言えるでしょう。
また、CS(顧客満足度)はNPSツール等を用いて数値化することもできるため、ビジネスの指標とするケースもあります。顧客満足度が高ければ、商品やサービスの継続利用に繋がり、口コミの増加やLTVアップも期待できます。
02.
なぜ重要なのか?注目されているのか?
CXはこれまでも重要な部分でしたが、価値が多様化したことでより注目されています。従来のビジネスでは、商品やサービス自体の「合理的な価値」を中心として販売していました。
例えば、アパレル関連のビジネスの場合、服の質や価格などが合理的な価値にあたります。しかし、時代の変化とともに顧客の価値観は変化しており、合理的な価値だけでは競合他社との差別化が難しくなったため「感情的な価値」が重要視されています。
感情的な価値とは、ECサイトで商品を購入してから発送されるまでのスピードやアフターフォローなどの部分です。顧客に感情的な価値を提供することで、企業は他社との差別化を実現しています。そのため、CXはビジネスにおいて非常に重要であり、注目されている部分と言えます。
03.
CX向上でどんな価値が生み出せるのか?
CXを向上させることで生み出される価値は、以下の通りです。
- 既存顧客のファン化
- 新規顧客の増加
- ブランドイメージのアップ
それぞれ順に解説します。
既存顧客のファン化
CXを向上させることで、既存顧客のロイヤリティが高まりファン化が見込めます。
顧客のファン化とは「商品購入でこのブランドに貢献したい」「自分がサービスを利用することで支えている」と顧客が感じる状態です。
顧客をファン化することで、継続的な自社商品/サービスの利用を促進できたり、他社への乗り換えを防ぎやすくなる、といったことが期待できます。
実際に、watermark社が発表したCXに関する調査(※1)によると、CXの高い企業は低い企業に比べて、約3倍ものリピーターを獲得していると発表しています。
ファン化した顧客は、積極的に営業を行わなくても、商品・サービスを利用してくれます。既存顧客を増やすことで、企業成長に大きな影響を与える可能性を与える可能性が高いと言えます。
新規顧客の増加
CXを向上させれば既存顧客だけではなく、新規顧客も増加します。
既存顧客に対して高い良質な購買体験を提供することで、商品・サービスに対するポジティブな口コミが拡散されます。
また、近年はSNSの普及により、簡単に口コミの発信が可能です。
多くの顧客からポジティブな口コミが発信されれば、高い広告効果を発揮し、新規顧客の獲得が期待できるでしょう。
ただし、CXが低下するとネガティブな口コミも広がります。ネガティブな口コミが多ければ、新規顧客の獲得は難しくなるため、CX向上に力を入れる必要があるでしょう。
ブランドイメージのアップ
CXの向上は、ブランドイメージのアップにつながります。ブランドイメージがアップすれば、競合他社と似た製品でも自社を選んでもらえる可能性が高いです。例えば、過去に良質な購買体験をしたECサイトと、購入経験がないECサイトでは、前者が選ばれる可能性が高いでしょう。
また、CXの向上によってブランドイメージを高めることで、潜在顧客に対してもアプローチできます。自社の商品・サービスを利用したことのない人でも、潜在的に「この商品を買うならこの会社」と考えてもらえるでしょう。
ブランドイメージの高さで獲得した顧客は、合理的な価値では他社に移りにくいです。そのため、CXの向上は企業成長に欠かせないポイントと言えるでしょう。
04.
CXを向上させるにはどんな手段があるのか?
CXの向上は企業成長に欠かせないポイントです。具体的にCXを向上させるためには、どのような手段をとれば良いのでしょうか。CXを向上させるための手段は、以下の通りです。
- カスタマージャーニーマップの作成
- カスタマーサポートの充実
- サービスのオムニチャネル化
「カスタマージャーニーマップ」とは、顧客がニーズに気づいてから、行動して問題を解決するまでの流れです。 顧客データに基づいてカスタマージャーニーマップを作成することで、営業方針を設定できます。
また、カスタマーサポートの充実もCX向上につながります。顧客へ他社にはない手厚いサポートを提供することで、良質な顧客体験を感じてもらえるでしょう。
さらに、サービスのオムニチャネル化によりオンライン・オフラインを問わず最適な顧客接点を持ち、購買体験を提供することでもCX向上が期待できます。
05.
CX向上のためにはデータ蓄積と分析が必要
このようなCX向上の施策を展開するには、データの蓄積・分析が必要です。例えば、カスタマージャーニーマップの作成やパーソナライズなどは、顧客の属性や購入履歴、サイト内でどのような行動をしたかといったデータがなければ施策が成り立ちません。
顧客ニーズは多様化しているため、ビッグデータを収集・蓄積して、自社に最適なCX向上施策を考えることが重要です。
そのためには、データの蓄積だけでなく分析まで行えるCDPの導入が有効です。CDPによってデータ分析を行うことで、より深く顧客行動を理解して最適な施策を展開できるでしょう。
06.
まとめ
以上、カスタマーエクスペリエンスの概要や重要性、向上させることでどんな価値を生み出せるのか解説しました。
顧客ニーズが多様化している昨今において、CXの向上は必要不可欠です。CXを向上させることで、既存顧客のファン化や新規顧客の増加などが期待できます。
ビッグデータの収集は今後もCXを向上させる上で重要なものになります。
ご自身の携わっているサイトでは現在どのようにデータを蓄積・分析できているか、また今後どのようにしていくべきか、ぜひ意識してみてください。
※1 The Customer Experience ROI Study; https://watermarkconsult.net/blog/2021/10/18/customer-experience-roi-study/
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