LYZONのディレクターマネージャーが語る 大規模サイトへのSitecore導入事例【前編】
Webディレクターとしての役割とキャリア
―では、まず前原さんがWebディレクターという職種ということで、実際Webディレクターというのはどういったことをされているのかについて、お話を聞かせていただけますか。
前原
LYZONにおけるウェブディレクターは主にWEBサイトを構築する際のディレクションを行うというところなんですけれども、お客様のクライアント担当のディレクターとお客様とで要件を詰めて、どんな仕様・実装にするかというのを協議してまとめて、それをLYZON社内にいるデザイナーエンジニアに渡して各工程の進行管理を行い、お客様と要件について協議を行い、これを完成させてお客様に納品する、その一連の流れを管理するのがディレクターの仕事になります。
―なるほど。
ありがとうございます。これまで何年くらいWEBディレクターという職種を務められてきたんですか?
前原
そうですね、私は新卒で入社した前の会社でWEBディレクターとして仕事を始めて、それからずっとやってきていて、キャリアとしては20年ほどになるかなと思います。
―なるほど、一番最初からWEBディレクターだったんですかね。
前原
そうですね。その頃は非常に小さい町のお医者さんとか、美容室とかのWEBサイトを一人で1カ月に何本も作るみたいな小さいものをやっていたんですけど、だんだんそこから部署も変わったりしてより大きなクライアント企業のWEBサイトを構築をするようになり、LYZONに中途で転職して入社してからはより大規模なCMSを使ったWEBサイト構築というのをやってきてます。
―では、結構もう最初から1人でウェブサイトを制作するというところから始められていたんですね。
前原
そうですね。その頃はまだ業界も成熟してない中、見よう見まねで作っていくみたいなところがあったんですけれども、そのときもデザイナーとかコーダーと一緒になってお客さんと要件をまとめてワイヤーフレームを描いてそれをデザイナーに渡してデザインを起こしてということをやっていました。お客様から原稿をもらってコンテンツの中身を差し替えたりなども。
WEBサイトがもつ役割の変化とCMSの進化
―確かに20年前と考えると、僕が10歳の頃なんですけど、その時に見ていたサイトって本当に記事を更新するだけみたいなことが多かったように思います。
前原
当時はまだブログですね。
Movable TypeとかWordpressとか、それがまだそんなに普及する前の頃からで、いわゆるHTMLを普通に手で作って、それを何枚もFTPでアップロードしてウェブサイトとして作るみたいな、そういうところからやっていて、その後徐々にBLOGが普及してきましたね。
―そしてMTなどのCMSを使ってウェブサイトを構築するっていうのがどんどん普及して、時代の流れが変わってきたということですね。
本当に、CMSというものが徐々に普及し始めるところから、今に至るまでずっとCMSを用いたWEB構築に携わっていらっしゃるということですね。
今まで扱ってきたCMSにはどのようなものがありますか?
前原
一番普及していて、ローエンドのものでいくと、WordpressとかMovable Typeというものが多いんですけれど、そこからですね。
ミドルクラスになってくると、TeamSiteとかNORENとかHeartcoreといったCMSを扱っていました。今LYZONで関わっているのはSitecoreというハイエンドのCMSがメインになっているので、そこが非常に一番キャリアとしても長くなってきているかなというところですね。
―なるほど。Sitecoreには携わって何年くらいですか?
前原
業務として携わったのがLYZONに入社してからなので、約6年とかそれくらいになりますね。
―先程ローエンドのものからミドルエンド、ハイエンドなものまで携われていたことなんですけども、それぞれどのような規模のサイトに適しているものなんですか。
前原
そうですね。MTやWordpressですとやはりブログの延長というところで小規模なサイトに適しているので、数100ページとかそういった規模感のものになってくると思いますね。
企業向けのCMSとなると、やはりボリュームとしては大体数百ページから数千ページくらいを管理できるCMSが必要になります。
サイトコアのようなハイエンドCMSですと、それこそグローバルサイトであったり、マルチサイト、多言語サイトで20数カ国以上の多言語対応のサイトであったり、マルチブランドのサイトであったり、そういうところも扱えるようになってくるので、数1000ページか数万ページというかなり大きなボリュームにまで対応するものになってきます。
―先ほどから一度として質問によどみなく答えていただいて、さすが喋り慣れているなというのをすごく感じます。
やはり、お客様からお問い合わせいただいたことに随時にお答えするということも業務としてあるんでしょうか。
前原
そうですねお客様と相対してサービスを提供したり、会議をしたりというのがやはり基本になってくるのでそういった機会は多いですね。
SItecoreでの構築に適したサイトと導入のメリット
―そのお客様によって、例えばSitecoreが適している場合もあれば、Wordpressに適している場合もあると思うのですが、どういったお客様にどのようなCMSが適しているかという傾向はありますか?
前原
そうですね。やはりSitecoreは非常に多機能なわけですけれども、ライセンス費もそれなりに高額だったり、構築のコストもそれなりにかかるので、そこは予算の幅に応じてというところがまず一番最初に見るべきところになるかなと思いますね。
WordpressやMTですと、そのお客様が要望されるセキュリティ要件であったり、追加での機能開発や、他システムと連携をするであるとか、そういった対応が難しい部分が出てくるため、そういう場合にはSitecoreをはじめとした高機能なCMSが候補に挙がってくるんじゃないかなと思います。
―なるほど。予算規模の大きいSitecoreのようなCMSを取り扱うのは、大体どういった業種であったりとか、どういったお客様が適しているのでしょうか?
前原
そうですね。多くの分野の企業に入れてもらっているのですが、例えば金融系だったりとか、医療系だったり、大学などの教育関係であったりとか、
あるいは通信事業者さんのサイトであったりとか、著名なブランドを複数持っているメーカーさんがブランド別の製品の情報を紹介したりとか、ECサイトと連携をしたりとか、そういった要件があるとことで多く使われているかなと思います。
―なるほど。これまでLYZONの実績としては、Sitecoreがメインとして使われていたと思うんですけれども、Sitecoreが他のCMSに比べて優れている点などはございますでしょうか。
前原
やはりSitecoreはマルチサイト、グローバルサイトが構築しやすいというところが最大のメリットであると同時に、デジタルマーケティング機能をCMS内で利用できることも大きなメリットです。
Sitecoreの中にデジタルマーケティング機能が組み込まれているので、ワンストップで提供できるというところが大きな強みになっているのかなとも思います。
世界中に製品を展開するグローバル企業サイトでの導入事例
―先ほど1点目でマルチサイト、グローバルサイトに非常に適していて作りやすいということを挙げていましたが、他のCMSに比べてどのように作りやすいとお考えですか?
前原
そうですね、Sitecoreはコンテンツを言語ごとや数値ごとのバージョンという形で管理していることと、それとは別にページの情報構造を管理するテンプレートがあることですね。「コンテンツ」「デザイン」「テンプレート」が完全に分離された構造になっているので、一つのテンプレートに対してさまざまな言語違いのものをを差し替えるだけで作れたりとか、表示を全言語で連動させるべきところはスムーズに連動ができたりとか、扱いやすい構造になっているというのが非常に大きなところですね。
―なるほど、これまでSitecoreメインで取り扱われているということで、前原さんがこれまで携わったことのあるプロジェクトはどのようなプロジェクトがあったんでしょうか。
前原
そうですね。Sitecoreの実績としましてはメーカー系ですとか、金融系通信事業者さんのコーポレートサイトだったりというところが多くあります。
―それぞれ、どのような課題を抱えているお客様で、それをLYZONがどのように解決していったのかということについて、少し詳しく教えていただけますか?
前原
あるメーカーさんの場合を挙げると、世界20数カ国に拠点を持ち製品とサービス提供をする企業様があり、店舗の情報だったりとか、製品商品の情報だったりというのを持っているデーターベースがあるので、そことWEBをシステム連動して表示をするということが要件にありました。一方で、その製品を魅力的に見せないといけないというところもあり、それぞれのページに自由度を持たせたりとか、表現力を高めたいというご要望もあり、それを両立するためにはなかなか難しいところがあったんですけれども、システムとして連動するべき情報は自動的に出すような仕組みを実現した上で、さらにスペシャルページやスペシャルサイトのような表現をプラスアルファで入れられるような仕組みをつくり、それを両立するように考えたという事例がありました。
―さまざまな商品がある中で、その情報を問題なく掲載できるようにシステムを作り上げたうえで、特に売り出したい製品がある場合のスペシャルページ作成などで、それぞれの製品ごとのマーケティングもできるようにしたということですね。
前原
そうですね、はい。
大手通信事業者サイトでの大規模構築事例
―なるほど。通信事業者様も実績としてあるということですが、そちらの方はいかがですか?
前原
そうですね。そちらの例に関してお話すると、対象のページ数が非常に多くてですね。また、前のCMSからの移行だったりするんですけれども、そこで持っているいろいろなデータの形式とかをうまくサイトコアに持っていく必要があり、技術的にクリアしなきゃいけないハードルが結構あってどうすればうまく移行できるのかというところをかなりエンジニアとかと連携して検討した上で、テストを繰り返して移行していったということがあります。
―ありがとうございます。
LYZONにおいては、ディレクターというのはまとめる存在というか、プロジェクト進行をスケジュール通りに行っていく存在だと思うんですけれども、先程伺った例をお聞きするとデザイン面の強化が大変であったり、システム面での問題か大変だったり、だいぶ知識が必要になりませんか?
前原
そうですね、ディレクターとして必要な知識ももちろんあって、デザイナーとかエンジニアとかと会話をしたり、お客様の要件に対して、技術的にどう対応していくかという理解は勿論必要なんですけれど、それをそれぞれの分野のスペシャリストと同じレベルまでやるのにはかなり限界がります。LYZONは社内にデザイナーもエンジニアもいて、仕組みを内製化でき、プロジェクトチームを社内で完結して作れる体制が整っているので、その中でお客様からの要件をデザイナーとかエンジニアが自ら解釈して仕様にまとめたりとか、場合によっては打ち合わせに同席したりします。またそういった場でディレクターもいつでもデザイナーやエンジニアに相談ができるという環境があるので、それによって難しいところもなんとかクリアしていけるっていう体制ができているんじゃないかなと。
―なるほど。前原さんの場合ですとLYZON以外にも他の会社も経験されていると思うんですけども、そちらでも同じく一気通貫でできるような体制があったんですか?
前原
そこは、必ずしもそうではなかったですね。結構、それなりに規模の大きい会社にはいたんですけど、実はデザイナーは外注が多かったりとか、エンジニアも然りだったりとか。
特にエンジニアによる実装ってなると別会社があったりとか、システム部門は大きな別の部門があるとか、そういうところでなかなか連携が難しかったりもしました。
プロジェクトを進めるなかでお客様の要件が変更になったり、いろいろな状況が変化する時には柔軟な対応が必要になってくるんですけれども、やはりそこが外部の部署や別会社だったりすると、何か変更があったらその都度調整のためにかなり時間を要してしまったりとかということがあったのですが、その点LYZONはかなりやりやすい環境が整っているのかなと思います。
―なるほど。デザイナーやエンジニアが外注でスムーズな連携が難しい環境の中、こういうことが難しかったという具体的な例はあったりしますか?
前原
依頼時に要件をきっちりまとめて渡せば、しっかりその形のものが上がってくるんですけど、そもそもどうやって解決するか分からない時に相談したいということが結構あったりするんです。
それが別の部署とか外注だったりすると、いつでも聞けるっていうわけでもないですし、なかなか相談しづらい部分もありました。
それと、変更要望等についてですね。スコープが変わって要件が変わってきた場合、当然ながらお客様とも見積りの再調整なども行ったうえで対応していくことになりますが、そういった調整も社内で相談しやすいというのは非常に大きいのかなというとこです。
<後編はこちら>
※エントリーの内容・画像等は、公開時点での情報に基づきます。
※Sitecoreのバージョンによって実装されている機能が異なります。