CMSバージョンアップの必要性とは
セキュリティ上のリスクを防ぐ
CMSを古いまま使い続けると、セキュリティのすき間を狙われて、情報漏洩や改ざんなどの被害が生じる恐れがあります。
例えばWordPressでは、セキュリティアップデートを適用しないとハッキングの標的になりやすくなります。
こうしたリスクは他のCMSでも同様で、特に利用者の多いオープンソース型は攻撃対象になりやすいため、最新パッチの早期適用が重要です。
機能改善が業務効率につながる
CMSのバージョンアップは、セキュリティ対策に加え、使いやすさや表示速度の向上など、日々の業務を快適にするメリットもあります。
たとえばHubSpot CMSでは、編集画面がより直感的に改善され、マーケティング機能の統合によって、専門知識がなくても扱いやすくなるよう設計が見直されています。
こうした機能強化は作業の偏りを防ぎ、チーム全体での運用や成果の安定につながります。
アップデートを怠ると“負債”になる
CMSにはサポート期限があり、それを過ぎたバージョンは更新や修正の対象外となります。
例えばDrupal 7は2025年1月にサポートが終了しましたが、バージョン移行には手間と時間がかかります。
古いまま運用を続けると、非対応モジュールによる不具合や表示崩れ、データを新環境に移す際のトラブルなどが発生する可能性があり、結果的に後からの対応に大きな負担やコストがかかることもあります。
CMSのバージョンアップによる影響例
表示や動作の不具合が発生することも
CMSの新しいバージョンでは、既存のテンプレートやプラグインと合わず、ページの表示や動作に不具合が生じることがあります。
例えば、JavaScriptライブラリやCSSフレームワークが最新仕様と合っていないと、スライダーが動かない、レスポンシブデザインが崩れるといった問題が起こります。
こうしたトラブルは、サイトを利用する人の利便性に影響するだけでなく、Googleが重視するCore Web Vitalsの評価にも関わるため、事前の確認が欠かせません。
SEOや表示速度にも影響がある
CMSのバージョンアップでは、HTML構造やURLルールが変わることがあります。
その際にリダイレクト設定が適切でないと、404エラーが増え、検索エンジンの評価が下がる恐れがあります。
一方、読み込み速度やアクセシビリティが改善されるケースもあり、SEO面でプラスに働くこともあります。
つまり、バージョンアップには注意が必要ですが、Webサイトをより良くするチャンスでもあるのです。
CMSごとに異なる影響に注意
CMSの種類によって、バージョンアップの影響は異なります。
例えばWordPressでは、プラグインやテーマの互換性確認が重要で、特にメジャーアップデート時は注意が必要です。
Sitecoreはクラウド対応やAPI設計が進んでおり、アップデートのたびにシステム構成が大きく変わることがあります。
Drupalではモジュールの互換性に注意が必要で、更新前の事前確認が欠かせません。
HubSpotは自動更新されますが、UI変更や新機能に対応できるよう、日頃から情報をチェックしておく必要があります。
CMSごとの対応ポイント
Sitecore:クラウドとAPI連携の確認を
Sitecoreを利用する場合、XM CloudやCDPなどのクラウド機能が使えるかどうかが、バージョンアップの重要な判断材料になります。
構成ファイルやAPI仕様が変わるほか、DockerやKubernetesなどへの対応が求められることもあります。そのため、公式のアップグレードガイドやチェックツールを活用し、段階的に移行計画を立てることが重要です。
特に大規模サイトでは、パフォーマンスへの影響も考慮が必要です。
Drupal:モジュールの互換性と計画的更新
Drupalでは、バージョンが変わると一部のモジュールが使えなくなることがあります。
そのため、アップデート前に現在使用中のモジュールが新バージョンでも正常に動作するか確認しておきましょう。
Upgrade Statusモジュールなどのツールを活用すると便利です。
また、Drupalのリリースポリシーや長期サポート(LTS)の方針にも目を通し、更新のタイミングを見極めることが重要です。
HubSpot:自動更新への柔軟な対応体制を
HubSpot CMSはSaaS型の仕組みで、基本的に自動で最新バージョンに更新されます。
そのためバージョン番号を気にする必要はありませんが、画面の操作方法が変わったり、新機能が追加されたりすることがあります。
こうした変化に対応できるよう、社内マニュアルを見直し、アップデート情報をこまめに確認しておくことが大切です。
WordPress:プラグインとテーマの互換性チェックが重要
WordPressでは、バージョンアップ前にプラグインとテーマの互換性を確認することが重要です。
使用中のプラグインが新バージョンに対応しているか、テーマが正常に動作するかを事前にテスト環境で確認しましょう。特にセキュリティやSEOなど、サイトの根幹に関わるプラグインは慎重にチェックが必要です。
また、自動更新機能もありますが、重要なサイトでは手動に設定し、計画的にアップデートするのがおすすめです。
安全なバージョンアップの進め方
まずはバックアップとテスト環境の準備から
CMSをバージョンアップする前には、必ずバックアップを取るのが基本です。
データベースとファイルの両方を含む完全なバックアップを作成しておけば、不具合が起きても元に戻せるため安心して作業が進められます。
また、本番環境とは別にステージング環境(テスト用)を用意し、バージョンアップ後の動作確認を事前に行うことも重要です。
こうした準備がトラブルの未然防止につながります。
段階的に公開し、ユーザーの反応を確認する
バージョンアップ後、全ページをいきなり更新せず、一部のページや機能だけを先に公開して様子を見る「段階的公開(カナリアリリース)」という方法があります。
この方法を使えば、問題が発生してもすぐに対応しやすくなります。
更新後はアクセス状況や表示速度などをチェックしたり、必要に応じて調整したり、前の状態に戻せるよう準備しておくことが大切です。
社内と外部の連携体制を見直す
CMSのバージョンアップには、専門的な知識が求められる場合もあります。
社内だけで対応が難しいときは、CMSに詳しい外部パートナーに協力を依頼するのも有効です。
その際は、トラブル発生時の対応や保守の内容を契約で明確にしておくと安心です。
あわせて、社内マニュアルや情報共有の方法も見直しておけば、次回のバージョンアップもスムーズに進められます。
まとめ
CMSはWebサイト運営を支える重要な仕組みであり、価値を維持するにはバージョンアップの工夫が必要です。
導入して終わりではなく、安全性や使いやすさを保つには定期的な更新が欠かせません。
最近のCMSは、情報発信だけでなく、マーケティングや顧客管理にも使われています。
バージョンアップで新機能が加われば、組織全体の情報活用にも役立ちます。
CMSは進化を続けており、対応を重ねることでWebサイトの価値を長く保てるでしょう。
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