アクセシビリティ対策の基本を理解しよう
すべての人が使えるWebサイトとは何か
アクセシビリティとは、年齢や身体的特徴、使う機器に関係なく、誰もが情報へアクセスできるようにすることです。視覚に障害のある方が音声読み上げソフトでWebサイトを利用したり、手が不自由な方がマウスではなくキーボードだけで操作できるようにしたりすることが含まれます。
アクセシビリティと混同しがちな「ユーザビリティ」は、「使いやすさ」を意味し、操作が簡単で分かりやすく、必要な情報がすぐ見つかることを指します。アクセシビリティ対策の多くは、結果的にすべてのユーザーにとって使いやすさの向上にもつながります。
CMSがアクセシビリティ対策に最適な理由
作業時間の短縮
CMS導入のメリットは、アクセシビリティ対応にかかる作業時間を短縮できる点です。
この効率化を可能にしているのがCMSのテンプレート機能です。一度適切に設定すれば、新しいページ作成時にも同じ品質のアクセシビリティ対策が自動で適用されます。
継続的な品質保持
CMSを使用することで、サイト全体の品質を一貫して保つことができます。新しいスタッフがページを作成する場合でも、テンプレートに従って作業するため、アクセシビリティの要件を満たしたページを作成できます。
法律や技術基準が変更された場合でも、テンプレートを修正するだけで全ページに変更を反映できるため、メンテナンスの負担も大幅に軽減されます。
CMSで実現できる具体的な改善方法
CMSで代替テキスト(alt)を効率よく設定する
視覚障害のある方が使うスクリーンリーダー(音声読み上げソフト)では、画像の内容を伝えるために「代替テキスト」が必要です。CMSを活用することで、画像アップロード時に代替テキストの入力を必須にする設定が可能です。
さらに、AI技術を活用した画像内容の自動判別や、装飾用と内容説明用の画像の自動分類といった高度な機能も利用可能です。これにより、手作業で見落としがちな画像説明の設定を確実に行うことができます。
CMSで見出し構造を最適化し、SEOとアクセシビリティを強化する
適切な見出し構造は、スクリーンリーダー利用者にとって重要であり、ページ全体の理解を助けます。CMSでは、H1〜H6の見出しタグの階層を自動でチェックし、誤りがあれば警告を表示する機能があります。
また、見出しをもとに目的の位置へジャンプできる機能や、目次の自動生成なども搭載されており、ユーザーが情報を素早く見つけやすくなることで、誰にとっても読みやすいページを効率的に作成できます。
見出し構造の最適化は、検索エンジンにページ内容を正しく伝えるうえでも有効で、SEO効果の向上にもつながります。
CMSでキーボード操作に対応した設計を行う
マウスを使用できない方のために、キーボードのみでサイトを操作できるようにすることが重要です。CMSでは、タブキーで移動する順序を自動で調整し、フォーカス表示を統一することができます。
ページの先頭に「本文へスキップ」というリンクを自動で挿入する機能により、キーボードユーザーが効率的にサイトを利用できるようになります。
今すぐ始められる3つのステップ
第1ステップ:サイトの基本設定を確認する
最初に取り組むべきは、現在のサイトの基本設定の確認です。すべての画像に適切な説明文があるか、見出しタグの階層構造が正しいか、リンク文字が具体的な内容になっているかなどをチェックしましょう。
これらの作業には、ブラウザの開発者ツールや無料のアクセシビリティチェッカーが活用できます。多くのCMSには標準でチェック機能が搭載されており、効率的に確認作業を進められます。
第2ステップ:CMSテンプレートでアクセシビリティ設定を標準化する
次に、CMSテンプレートを見直し、アクセシビリティに配慮した構造をあらかじめ組み込んでおきましょう。たとえば、色のコントラスト比(4.5対1以上)やキーボード操作の挙動を確認し、必要に応じて修正します。
WordPressなら「WP Accessibility Plugin」、Drupalなら「Accessibility機能モジュール」などの専用ツールを活用すると、効率的に改善を進められます。
第3ステップ:継続的な改善体制を構築する
最後に、継続的にアクセシビリティの品質を保つための体制を構築します。チェックツールを定期的に活用し、改善状況を記録・分析する体制を整えましょう。
月1回程度の評価を行い、問題が見つかれば速やかに対応できる体制を整えることが重要です。サイトを更新するスタッフ向けにアクセシビリティ研修を実施することで、新しいページでも適切な対策が確実に行われるようになります。
まとめ
CMSを活用したアクセシビリティ対策は、法令対応にとどまらず、ビジネス成果にも直結する重要な取り組みです。適切な設定と継続的な改善により、すべてのユーザーに使いやすく、成果につながるWebサイトを効率的に構築できます。
その結果として、作業時間の短縮や品質の安定、ページ速度の向上といった生産性の改善に加えて、滞在時間の延長、離脱率の低下、問い合わせ件数の減少など、ユーザー行動にも好影響をもたらします。
アクセシビリティ対策は先延ばしにせず、計画的に進めることで、将来的な負担軽減と成果向上につながります。ご紹介したステップを参考に、まずは無理のない範囲で取り組みを始めてみてください。
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