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株式会社LYZONでは、PIMを活用したサービス例や導入実績について、Webサイトにてご紹介しています。より詳しく解説した資料をご希望の方は、無料ダウンロードも可能です。
PIM導入をご検討の方、PIMとWebサイトの連携をお考えの方は、以下よりお気軽にお問い合わせください。
PIMとは?
PIMとは、「Product Information Management(製品情報管理)」の略です。
従来企業が力を入れてきた各製品関連情報(マスタ情報)に加え、Webやパンフレットなど販売・マーケティングに必要な情報(プロモーション情報)を一元管理するソリューションです。
製品を取り扱う製造業や販売業など様々な企業の中で、自社の製品を管理することはとても重要です。製品の種類や量の増加に伴い、製品情報の管理も複雑になり、製品情報管理における課題として、「情報を素早く探せない」「更新作業が大変」「時間がかかる」「連携ができない」などが上げられます。
製品データの管理に手間がかかってしまい、より高品質な製品コンテンツを保つためには業務効率の改善が必要になります。
PIMを活用することで、製品のスペック、キャッチコピー、販売価格・原価、商品画像、仕様書、販促物など、製品に関するあらゆる情報を1つのシステムで管理することが可能になり、企業の業務効率を大きく向上させることができます。
例えば海外進出している企業では、自社のグローバルECサイトとカタログ、パンフレットなどすべてのメディアを連携させて、迅速な市場投入を実現できます。
PIMが必要とされる背景
近年PIMの必要性が高まっている背景として、以下の要因が考えられます。
1. デジタル化の加速とDXの推進
近年、多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しています。特に製造業や小売業では、デジタルチャネルを通じたビジネスが増え、製品情報のデジタル管理が不可欠となっています。取引先や顧客への情報提供をより迅速かつ正確に行うことが求められ、PIMがその役割を担うようになっています。
2. オムニチャネル化と顧客接点の増加
顧客が複数のチャネルを利用して製品情報にアクセスするオムニチャネル化が進んでいます。オンラインストア、モバイルアプリ、店舗、マーケットプレイスといった多様な接点で一貫した情報を提供することが、顧客満足度の向上につながるため、PIMが重要視されています。
3. グローバル市場への進出
グローバル市場への進出が進む企業では、各国で異なる言語、通貨、法規制に対応する必要があります。PIMは、多言語対応や地域ごとの仕様調整をサポートし、現地市場への迅速な情報提供を可能にします。これにより、異なる国や地域で統一されたブランドイメージを確立し、競争力を向上させることができます。
4. 製品バリエーションの多様化
消費者ニーズの多様化により、企業は製品の種類やバリエーションを増やす傾向にあります。このため、製品情報が複雑化し、一元管理が難しくなっています。PIMは製品バリエーションを包括的に管理することで、運営の効率化を実現し、多様な顧客ニーズに迅速に対応できるようサポートします。
5. マーケティングデータの重要性の増加
マーケティングの視点から、製品の特徴や価値をわかりやすく伝えるため、製品情報の整備と管理が不可欠です。PIMにより、ターゲット層に応じた適切な製品情報を管理・提供することが可能になり、効果的なマーケティング施策の実施が容易になります。
6. 市場変化への迅速な対応
消費者のニーズや市場のトレンドは日々変化しています。企業はこの変化に柔軟に対応し、製品情報を更新・配信する必要があります。PIMを導入することで、迅速な情報更新が可能となり、市場の変化にスピーディーに対応できるようになります。
これらの背景から、PIMは企業の競争力強化、業務効率の向上、顧客体験の向上に貢献する重要なシステムとして、社会的な必要性が高まっています。
PIM導入のメリット
PIMは、Eコマースや多チャネル販売を行う多国籍企業にとって特に重要な役割を果たします。
また業種では製造業、流通業のお客様に適したシステムです。
具体的には、以下のような課題をお持ちのお客様に活用いただけます。
- 新商品のリリースに情報発信がおいついていない(国内と海外で大きな時間差がある)
- 商品カタログとWebサイトの内容に格差がある(事業部門・拠点・媒体で情報が統一されていない)
- 商品情報のメンテナンス業務の負荷が大きい(複数システムへの登録・更新が必要)
それではPIMを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。PIM導入のメリットについてご説明します。
1.業務効率の向上
一元管理された製品情報により、情報の検索や更新が迅速に行えるため、業務の効率が大幅に向上します。また、手作業でのデータ入力や修正が減少し、人的エラーを防ぐことができます。
2.顧客満足度の向上
PIMを導入することで、顧客に対して常に正確で一貫性のある製品情報を提供できます。これにより、顧客の信頼を獲得し、購買意欲を高めることができます。製品の仕様や使い方などの詳細情報も、媒体や地域を問わず正確な内容を明示でき、顧客の疑問を解消し、購入を促進します。
3.マーケティングの強化
PIMは、マーケティングチームにとっても大きな助けとなります。製品情報が整然と整理されているため、キャンペーンやプロモーションの際に必要な情報を迅速に取得し、戦略的に活用できます。また、製品の特性に基づいたターゲティングが容易になり、効果的なマーケティング施策を実施できます。
4.コスト削減
PIMを導入することで、情報の重複管理や手作業による業務の削減が図れます。これにより、長期的には人件費や管理コストを削減することが可能です。また、正確な情報提供により、返品やクレームの発生も減少し、コスト削減に寄与します。
5.競争力の向上
常に最新の情報を提供できるPIMシステムは、企業の競争力を高める要因となります。市場に迅速に対応できるため、競合他社に対して優位性を持つことができます。特に新製品やキャンペーンの際に迅速な情報配信が可能となり、マーケットの動きに柔軟に対応できます。
6.データの可視化と分析
PIMシステムは、データ分析機能を提供することが多く、製品情報の利用状況やパフォーマンスを把握するのに役立ちます。これにより、データに基づいた意思決定が可能になり、戦略的な施策を講じることができます。
PIMの機能
次に、PIMに搭載されている機能はどのようなものがあるのでしょうか。
各システムなどによって機能は異なりますが、以下では一般的に搭載されている主な機能についてご説明します。
1.データモデル機能
データモデル機能は、製品情報を正しく格納する「箱」を定義する機能を指します。
同機能では「インテリア」「家電」「ファッション」など、自社の製品に合わせてカテゴリを設定して管理することが可能です。例えば「家電」の場合、「冷蔵庫」「洗濯機」「テレビ」などのカテゴリに分類し、さらにそのカテゴリを「大きさ」「容量」「画素数」など細かい分類に定義付けしていくことで、より情報を管理しやすくなります。
製品情報と他の情報との関係性についても定義できる点も、PIMにおけるデータモデル機能の大きな特徴です。
PIMを導入する前に、「商品にどのような定義が必要なのか」「管理する目的」などを洗い出しておくことで、導入後の作業やツールの選定などがよりスムーズに進むはずです。
2.整合性チェック
整合性チェックは、製品情報をデータベース化するためにデータの整合性をチェックする機能です。
データ単体の性質だけでなく、他データとの関連性も確認できるうえ、「1つ以上のカテゴリに製品が属していないといけない」という項目などをチェックできます。ツールによってはチェックする項目を設定できるものもあり、導入前に定義しておくことで効率的に作業を進められます。
3.管理GUI
管理GUI(Graphical User Interface)は、データを管理・編集するためのコンピューター画面及びその機能 を指します。
管理GUIはツールの使いやすさに直結するため、ツール選定の際には、管理GUI機能が自社の業務に則しているかという視点で検討することが大切です。
またGUI部分のカスタムの可/不可や、使用する難易度、PIMの利用者などによって、管理GUI機能に求める機能性や操作性のレベルは大きく異なります。使いやすさは業務にも大きく影響するため、事前に操作性を確認する必要があります。
4.インターフェース機能
インターフェース機能とは、データモデルで定義した項目や汎用的な入出力項目を社内外データと共有できる機能を指します。対応するフォーマットや連携方法、出力先システムへのプリセットなどはツールによって異なるため注意が必要です。
またどのツールも簡易的なETL機能が搭載されている一方、高度なデータ加工機能(例:一般的なEAIツールなど)は搭載されていないという点は共通していると言えます。そのためある程度のデータ準備が必要なケースもあります。
5.承認フローシステム
承認フローシステムはデータ公開前に承認業務が必要な場合に備え、承認業務に関連する一連のフローをシステム化した機能です。データ公開における責任者への申請や承認作業をスムーズに行えます。
ただし、PIMの同機能は基本的な機能の搭載のみの限定的なツールが多いため、複雑な承認フローシステムが必要な場合は、フロー機能の作り込みや外部ツールとの連携を検討する必要があります。
6.グローバル対応
グローバル対応は、外国の言語や通貨などに対応できる機能です。ツールごとに標準で提供する言語や通貨は異なるため、あらかじめチェックしておく必要があります。
グローバル対応機能では、言語や通貨だけでなく、長さや重さなどの製品を扱う単位への対応や、翻訳支援や単位変換などの機能を備えているものもあります。海外展開を視野に入れている企業は、必要言語をカバーできているか、設定の拡張が可能なのかなどの詳細を確認しておきましょう。
PIMと既存ソリューションの違い
顧客に向けて製品情報やコンテンツを管理するためのシステム(例えばERPやCMSなど)は、既に存在し広く使われています。
それではPIMと既存ソリューションの違いは何でしょうか。主に目的、機能、データ管理のアプローチにあります。
それぞれのシステムが持つ特性を理解することで、企業は適切なツールを選択できるようになります。
1. 目的の違い
PIMは、主に製品情報の集約、管理、配信を目的としたシステムです。製品の仕様、説明、価格、画像、動画など、製品に関連する全ての情報を一元化し、複数のチャネルで一貫した情報提供を実現します。特にEコマース企業や多チャネル販売を行う企業において、その真価を発揮します。
製品情報の迅速な更新や、様々なチャネルへの効率的な配信が求められる環境で非常に有用です。これにより、ブランドイメージの一貫性を保ちつつ、顧客満足度を向上させることができます。
一方、ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業全体の業務プロセスを統合管理するためのシステムであり、財務、在庫、製造、人事などの機能を網羅しています。CMS(Content Management
System)は、ウェブコンテンツの作成や管理を主な目的としたツールであり、製品情報を含むコンテンツを作成・管理する際に役立ちますが、PIMのように製品情報を一元的に管理する機能は不足しています。
2. 機能の違い
PIMは、製品情報の管理に特化した機能を持っています。これには、データのインポートとエクスポート、情報のバージョン管理、ワークフローの最適化、マルチチャネル配信、デジタルアセット管理などが含まれます。これに対し、ERPは生産計画や物流管理、顧客関係管理(CRM)など、広範なビジネスプロセスをカバーする機能を提供します。
CMSは、主にコンテンツの作成や編集、公開を行うためのツールであり、製品情報の詳細な管理には向いていません。
3. データ管理のアプローチ
PIMは、製品情報を中心にデータを一元管理します。複数のデータソースからの情報を統合し、正確性や一貫性を維持するための機能が強化されています。データの品質管理、自動化されたエラーチェック、必要な属性の追加などが行われ、ユーザーは簡単に最新の情報を取得できます。
一方、ERPは財務データやオペレーションデータを中心に管理するため、製品情報の詳細な管理には限界があります。ERPに製品情報が含まれていても、特化した管理機能は提供されていないことが多く、製品に関連する情報の更新や配信は煩雑になることがあります。
PIM、ERP、CMSの間の統合も重要な要素です。PIMは他のシステムと連携することで、その効果を最大化します。
たとえば、PIMとERPを連携させることで、在庫管理や販売分析を強化し、製品情報の管理だけでなく、全体的なビジネスプロセスの効率化が可能となります。
PIMを選定するポイント
PIMシステムを選定する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
1.管理範囲の明確化
自社で管理したい製品情報の範囲を定義し、PIMでどこまでを商品として扱うか、部品として分類するかを決定します。
2.製品点数の把握
管理対象となる製品数を大まかに把握し、特に販売終了した製品のデータをどう扱うか(削除するか、アフターサポートのために残すか)を社内方針として決めておきます。
3.既存システムとの連携
現在使用しているシステムや外部データとの連携がスムーズに行えるかを確認します。 特に、ECサイトやカタログ制作など、データを活用する業務との親和性が重要です。
4.管理業務体制の確認
製品情報の編集や管理を担当する人員の体制を確認し、必要に応じてサポート体制を整えます。 複数の担当者が関与する場合、承認フロー機能が役立ちます。
5.PIMの標準機能の確認
導入目的に合致した機能が標準で備わっているかを確認します。 特に、データの連携時のファイル形式やデータ加工の精度など、具体的な業務要件に適しているかをチェックします。
PIMの連携と活用方法
PIMシステムは、製品情報の管理や活用を効率化するために多くのシステムと連携し、さまざまに活用することができます。PIMシステムの代表的な連携先とその活用方法をご紹介します。
1. ECサイトとの連携
- 自動更新: 製品情報がPIMで更新されると、ECサイトにリアルタイムで反映されるため、常に最新の情報を提供できます。
- 統一された製品データ: 全ての販売チャネルにわたり、価格、在庫、商品説明などが一貫して提供され、ユーザー体験を向上します。
- バリエーション管理: サイズや色など、複数のバリエーションを持つ製品を一元管理でき、ECサイトでの検索やフィルタ機能をサポートします。
2. マーケティングツールとの連携
- 顧客データとの統合: CRMやMAツールと連携して、製品情報と顧客データを掛け合わせたパーソナライズドなキャンペーンが可能です。
- メールマーケティング: 最新の情報を反映した商品カタログやプロモーション情報を顧客に送信し、コンバージョン率の向上に貢献します。
- 広告プラットフォームとの連携: 広告やリマーケティングに、正確な製品情報を自動的に適用し、マーケティングの一貫性を保ちます。
3. ERPシステムとの連携
- 在庫管理と販売予測: 在庫や販売データと連携することで、リアルタイムな在庫状況の把握が可能になり、販売機会損失を防ぎます。
- データの一元管理: サプライチェーンから顧客までのデータを統合し、在庫、価格変更、配送情報などが常に最新のものとして維持されます。
4. カタログ制作や印刷システムとの連携
- 自動レイアウト生成: 印刷カタログやデジタルカタログにPIMのデータを活用し、制作プロセスを効率化します。
- 多言語対応: 多言語に対応した製品情報をPIMで管理することで、異なる言語のカタログを自動生成し、グローバル展開に対応します。
- 製品情報のバージョン管理: 季節やプロモーションごとに異なるバージョンを作成し、古いバージョンのデータも保持しておくことで、再利用が可能です。
5. 販売パートナーとのデータ共有
- データの統一フォーマット化: 販売代理店やパートナー企業向けにPIMのデータをAPIなどで提供し、簡単にアクセス可能にします。
- 迅速な情報提供: 製品情報や在庫状況、キャンペーン情報を即座に共有することで、販売パートナーの対応スピードを向上させます。
6. AIやデータ分析ツールとの連携
- 分析/予測機能の向上: 商品データをAIやBIツールで分析し、消費者の購買パターンやトレンドを予測することができます。
- パーソナライズドレコメンド: 製品の属性情報をもとにレコメンデーションエンジンと連携し、ECサイトでパーソナライズされた製品提案が可能です。
PIMシステムは、ECサイト、ERP、マーケティングツール、カタログ制作、販売パートナー、データ分析ツールなどと連携することで、製品情報を一貫して管理し、複数のチャネルで効率的に活用することが可能です。これにより、業務の効率化、正確な情報の提供、マーケティングの強化が実現し、競争力のある顧客体験が構築できます。
Webサイトとの連携については、「【解説動画あり】PIM導入をより効果的に!Webサイトとの連携で生まれる新たな価値」でも解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
まとめ
本記事では、PIMについての概要やメリット、機能や選定のポイントなどを解説しました。
デジタル化が進む現代において、PIMシステムの導入は非常に重要性の高い取り組みのひとつと言えます。本記事の内容を参考に、ぜひ自社に最適なPIMをご検討ください。
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