Sitecore を扱っていると「XM」「XP」「XMCloud」という製品名に混乱することがあります。この記事では3製品の違いやXMCloudにおけるHeadless構成を整理し、解説します。
3製品の比較
| 項目 |
XM |
XP |
XMCloud |
| 一言まとめ |
CMS特化の従来型 |
XM + xDB |
SaaS型・Headless前提 |
| ホスティング |
オンプレ / PaaS |
オンプレ / PaaS |
SaaS(Sitecore管理) |
| xDB(アナリティクス) |
✗ |
✓ |
✗ |
| パーソナライゼーション |
限定的 |
✓ |
✓(Pages経由) |
| Headless / Next.js |
オプション |
オプション |
前提 |
| インフラ管理 |
必要 |
必要 |
不要 |
| ローカル開発 |
Docker |
Docker |
CLI + Next.js |
XM(Experience Manager)
Sitecore のコンテンツ管理機能に特化した製品です。コンテンツツリー・テンプレート・レイアウト・パブリッシュといった基本機能を備えています。xDB を持たないためアナリティクスやパーソナライゼーションは対象外ですが、その分シンプルで軽量です。マーケティング機能が不要なプロジェクトや、コストを抑えたい場合に適しています。
XP(Experience Platform)
XM に xDB(Experience Database) を加えた製品です。訪問者の行動トラッキング・ゴール計測・パーソナライゼーションルール・メール配信(EXM)などが利用できます。ただし xDB の分だけアーキテクチャが複雑になり、Processing・Reporting・Collection といった追加ロールの管理が必要です。アナリティクスやパーソナライゼーションを Sitecore 単体で完結させたい場合に選択肢になります。
XMCloud
Sitecore が提供する SaaS型の CMS で、XM の機能をクラウドネイティブに再設計したものです。インフラは Sitecore が管理するため、開発チームはフロントエンド(Next.js)の開発に集中できます。なお xDB は含まれておらず、パーソナライゼーションが必要な場合は Sitecore Personalize・CDP などの別製品と組み合わせます。Sitecore 社の今後の機能投資も XMCloud に集中しており、新規プロジェクトでは第一候補となる製品です。
場面別の選び方
新規プロジェクトで Sitecore を採用する場合
Sitecore 社が新規プロジェクトへの XMCloud 採用を推奨しており、今後の機能投資もここに集中しています。インフラ管理が不要で、Next.js + JSS によるモダンなフロントエンド開発が最初から整っています。
アナリティクス・パーソナライゼーションが必要な場合
XMCloud 自体には xDB が含まれないため、要件次第で製品選択が変わります。パーソナライゼーションを Sitecore 単体で完結させたい既存環境では XP が選択肢になります。一方、新規で構築する場合は XMCloud + Sitecore Personalize / CDP の組み合わせが現在の標準的なアプローチです。
既存の XM / XP 環境を運用している場合
既存資産(カスタムコンポーネント・MVC レンダリング・xDB データ)がある場合、すぐに XMCloud へ移行するのは現実的ではないケースも多いです。新規開発の主軸は XMCloud に移りつつありますが、XM / XP も引き続き多くのプロジェクトで利用されています。
フロントエンドをモダン化したい場合
XM / XP でも JSS を使った Headless 構成は可能ですが、XMCloud では Next.js + JSS が標準スタックとして最初から整っています。フロントエンドチームが Razor(.cshtml)から脱却したい場合や、Vercel などへのデプロイを想定している場合は、XMCloud への移行が技術的にも推奨されている流れです。
XMCloud の Headless 構成(Next.js + JSS)
※構成イメージ
XMCloud では、従来のように CMS が画面描画まで担うのではなく、コンテンツ管理と表示が完全に分離された Headless アーキテクチャが採用されています。
フロントエンドは Next.js によって実装され、ページの描画や配信(SSG / ISR)はフロント側で行います。一方、XMCloud はコンテンツの管理に専念し、Experience Edge を通じて API(GraphQL)でデータを提供します。
この構成により、フロントエンドと CMS を独立して開発・デプロイできるため、スケーラビリティや開発効率が大きく向上します。
まとめ
- XM:CMS特化の従来型。シンプルで軽量
- XP:XM + xDB。アナリティクス・パーソナライゼーションが必要な場合
- XMCloud:SaaS型・Headless前提。Next.js + JSS が標準。新規プロジェクトに推奨
新規プロジェクトであれば、インフラ管理不要でフロントエンド開発ができる XMCloud が主流となっています。
※ 2025年11月の Sitecore Symposium にて、XMCloud は SitecoreAI としてリブランドされました。
参考文献
※エントリーの内容・画像等は、公開時点での情報に基づきます。
※Sitecoreのバージョンによって実装されている機能が異なります。